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パンダのうんこはいい匂い/藤岡みなみ
¥1,980
。出版社:左右社 。判型:四六判 。ページ数:224ページ 。発売日:2022年08月05日 以下は出版社ホームページより。 内容紹介 パンダ好きが高じて四川省でパンダ飼育員体験、四川省出身の義母が洗面台に泳がすフナ、ラスベガスで生ハム地獄、首吊りショーで生き死にを考え、映画を作っては他者の身体を想像する。海外での体験のみならず、暮らしの中での「異文化」をユーモラスに綴る、藤岡みなみ初のエッセイ集! 幼い頃からパンダが好きで、気がついたら四川省出身の人と結婚していた。現在、義理の両親と共に暮らしているのだが、帰宅すると洗面台にフナが泳いでいるなど、いつも新鮮な驚きがある。(中略) これまで異文化とは、旅の中で出会うようなものだった。今では異文化は当たり前の日常の中にある。しかし、それは習慣の異なる人と生活しているからなのだろうか? 本当はもともと日常の中にあったのではないか。奈良に住む私の祖母は庭にパラソルを出して天ぷらを揚げる。しらたきの上にミカンを盛りつけたりもする。極端な話、人が2人以上いればそれはすべて異文化交流なのかもしれない。(中略) イメージと実際の姿は異なることが多い。パンダのうんこはいい匂いがする。異文化とは線を引くものではなく、身体を使って行き来するものだと思う。すべての知らないこと=異文化に触れ、自分自身のかたちがどんどん変化していった日々をエッセイにした。(中略) 一緒に未知の香りをかいでみるつもりで読んでもらえたら嬉しいです。 「はじめに」より 転がる好奇心でユーモラスに綴る、読む異文化紀行! ・パンダとふれあいたい一心でうんこ掃除にいそしむ「パンダのうんこはいい匂い」 ・四川生まれの義母が買ってきたフナが、元気に洗面台を泳ぐ「洗面台にフナ」 ・首吊りショーで生き死にを考え、あつあつの焼きそばを食べる「首吊りショーの庭」 ・日本に馴染めない留学生・ジェシーとの思い出「いつかジェシーとオニオンフライを」 ・英語ができないあまりに、回り回ってラスベガスで生ハム地獄「涙のラスベガス」 藤岡みなみ (フジオカ・ミナミ) 文筆家/ラジオパーソナリティ/ドキュメンタリー映画プロデューサー 1988年生まれ。学生時代からエッセイやポエムを書き始め、インターネットに公開するようになる。ラジオパーソナリティやMCなどの活動のほか、ドキュメンタリー映画『タリナイ』(2018)、『keememej』(2022)のプロデューサーを務める。時間SFと縄文時代が好きで、読書や遺跡巡りって現実にある時間旅行では? と思い、2019年にタイムトラベル専門書店utoutoを開始。著書に『シャプラニール流 人生を変える働き方』(エスプレ)、『藤岡みなみの穴場ハンターが行く! In 北海道』(北海道新聞社)、『ふやすミニマリスト』(かんき出版)がある。
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迷うことについて/レベッカ・ソルニット 翻訳 東辻賢治郎
¥2,640
出版社:左右社 2019年5月30日 判型:四六判 体裁:上製 頁数:236ページ 年々話がまどろっこしく なっている。 それは、 経験を重ねるごとに 自分が何も知らないことを知ってしまうから。 相手の持つ情報を 予測しながら言葉を選びつつも 伝わるようにと 力が入るほど 言葉を重ねて 余計に話をややこしくする。 話している側から 自分の言葉に自分で 居心地の悪さを感じ、 迷い、言い淀み、 内容の核を失念する。 即断、即答、即論破、即効 それができないことによる ひがみかもしれない。 羨望もある。自己弁護もある。 訓練の足りなさも。 でも、 その気持ちよさに 慣れきってはいけない気もする。 どこか まごまごともごもごと いつまでも迷う人でありたい。 書籍の内容と関連しているような いないような。 レベッカ・ソルニットの洞察は深く、 感心するばかりです。 以下は出版元ホームページより わたしたちはいつだって迷っている。夜明け前が一番暗いと知っているけど、その暗さに耐えられるときばかりじゃない。失われたもの、時間、そして人びと。個人史と世界史の両方に分け入りながら、迷いと痛みの深みのなかに光を見つける心揺さぶる哲学的エッセイ。 全世界を見失うがよい、迷いながら自分の魂を見出だすのだ。ーーH・デヴィッド・ソロー。 いにしえの哲学者は「それがどんなものであるかまったく知らないものを、どうやって探求しようというのか」と問うた。 一見、この問いはもっともだ。でも、いつだってわたしたちが探しているのは、どんなものかまったくわからないものだ。 進むべき道に迷い、〈死の谷〉で帰り道を見失い、愛の物語はガラスのように砕け散る。 脚本はついに一文字も書かれず、囚われ人は帰ってこない……。 旧大陸からやってきて、いつしかアメリカ西部のどこかに姿を消した曽祖母。 たどり着いた新大陸を10年にもわたってさまよった最初期の入植者カサ・デ・バカの一行。 嵐のような10代の冒険をともに過ごし、ドラッグで命を落とした親友。 ルネサンス以来描かれるようになった〈隔たりの青〉。 かつて愛した砂漠のような男。 父との確執。 ソルニット自身の人生と、アメリカを中心とした歴史と文化史に視線を向けて、 メノンとソクラテス、ベンヤミンやヴァージニア・ウルフらとともに、 迷うことの意味と恵みを探る傑作。 まったく迷わないのは生きているとはいえないし、迷い方を知らないでいるといつか身を滅ぼす。 目次 第1章 開け放たれた扉 Open Door 第2章 隔たりの青 The Blue of Distance 第3章 ヒナギクの鎖 Daisy Chains 第4章 隔たりの青 The Blue of Distance 第5章 手放すこと Abandon 第6章 隔たりの青 The Blue of Distance 第7章 二つの鏃 Two Arrowheads 第8章 隔たりの青 The Blue of Distance 第9章 平屋の家 One-Story House レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit) 1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。1988年より文筆活動を開始する。歩くことがいかに人間の思考と文化に深く根ざしているか広大な人類史を渉猟する『ウォークス 歩くことの精神史』(Wanderlust, 2000)、エドワード・マイブリッジ伝River of Shadows(2004、全米批評家協会賞)、ハリケーン・カトリーナを取材したA Paradise Built in Hell(2009、邦訳『災害ユートピア』)、#MeToo運動のうねりの予兆となった話題作『説教したがる男たち』など、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に二十を越す著作がある。美術展カタログや雑誌への寄稿も多数。 東辻賢治郎(とうつじ・けんじろう) 1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図。翻訳書にソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』がある。