。出版社:教育評論社
。判型:四六判
。ページ数:280ページ
。発売日:2022年05月20日
以下は出版社ホームページより。
閉塞感に覆われた日常から脱するため、
「一億年の森の思考法」を見つめ直す。
世界を捉え直す手がかりを、探るために――
フィールドワークに行くことや旅すること――人生が「移動」によって彩られてきた人類学者が、
コロナ禍で移動が制限された世界で「一億年の森」に思いを馳せる。
「一億年の森」である、ボルネオ島の熱帯雨林に住まう二つの先住民、カリスとプナン。
焼畑民であるカリスの暮らしは、儀礼がリズムを与えている。
他方、狩猟民プナンは遊動しながら動物を狩り、それを日々の糧としている。
森に住まう人たちが精霊、神、自然をどのように真剣に受け取ってきたか。それは、人間と人間以外の存在がともに生きる世界を考える上で、非常に示唆に富んでいる。
われわれと同時代に生きる、一億年の森に住まう人びとを受け取るだけではなく、その総体である人類学を「真剣に受け取る」。ともにいて、真剣に受け取って、人間の生を学ぶ。
目次
序章 旅を経て、文化人類学を始める
Ⅰ部 焼畑民カリス
第1章 邪術廻戦、カリス異変
第2章 シャーマニズム、生の全体性を取り戻す
第3章 死者を送り、かたきを呪詛する
第4章 旅する銀細工師、生の流動性
Ⅱ部 狩猟民プナン
第5章 ブルーノ・マンサー、共感と憤り
第6章 ものを循環させ、何も持たないことの美学
第7章 森の存在論、タワイとングルイン
第8章 赤ん坊の肛門を舐め、アホ犬はペットになる
第9章 生ある未来に向け、パースペクティヴを往還せよ
著者紹介
奥野 克巳(おくの かつみ)
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。1962年生まれ。 20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経巡った後に文化人類学を専攻。1994〜95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンとともに学んでいる。単著に、『絡まり合う生命』、『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』、『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(以上、亜紀書房)、『マンガ人類学講義』(日本実業出版社)。共著・共編著に『今日のアニミズム』『モア・ザン・ヒューマン』(以上、以文社)、『たぐい』Vol.1〜4.(亜紀書房)など。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える』、レーン・ウィラースレフ著『ソウル・ハンターズ』、ティム・インゴルド著『人類学とは何か』(以上、亜紀書房)など。