。出版社:光文社
。判型:文庫
。ページ数:240ページ
。発売日:2006年09月07日
ご存知の方も、
お気に入りの一冊になっている方も
多いであろう
#飛ぶ教室
再読したらとても良くて、
なんでだろう?と考えていたら、
(もちろん内容がよいのですが、
以前はそんなに感動した記憶がなかった)
訳者である
丘沢静也さんの解説が響いた。
児童文学の訳は
ことさらに言葉をやさしくする
ことも多いそうだ。
でも丘沢さんは、
わからないことがあればわからないまま暮らせばいい、
どうしても知りたくなったら調べればいい
というスタンスで訳した、
大人に向けた翻訳だ、と。
たしかに、
児童文学は
妙に漢字がひらかれていたり、
表現や説明が
とても読みづらかったり、
感動を誇張したり、
なんだか冷めてしまう経験が
あったなあと振り返る。
ケストナー自身も
すなおな感情、はっきりした思考、わかりやすい言葉
を旨としていたそうで、
大きな言葉より小さな言葉を
選んだそう。
光文社古典新訳文庫のかかげる
いま、息をしている言葉で、もう一度古典を、
という言葉も
とても感じがよいなぁと思う。
物語の前に差し込まれたまえがき
もなんだかとてもじんときます。
もしまだ読まれていない方がいたら、
ぜひ読んでみてください。
以下は出版社ホームページより。
友情、勇気、信頼、そして正義
8歳から80歳までの子どもに
「感動より、月並みであることを選び、大きな言葉より、小さな言葉を選んだ」ケストナーの世界を、“わかりやすさ”だけに閉じこめずに甦らせた。少年だった大人たちへ。
物語 ギムナジウムの少年たち
孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの国民作家ケストナーの代表作。
著者紹介
著者:エーリヒ・ケストナー [1899-1974]
ドイツの作家。8歳から80歳までの「子ども」たちに愛され、軽快で、簡潔で、男らしく、ユーモアにみちた作品を書いた。『エミールと探偵たち』など児童物で有名だが、大人を意識した小説『ファービアン』やシニカルな詩も。「子どもの友」にして、大胆なモラリスト、そして辛辣な風刺家。
訳者:丘沢静也
1947年生まれ。首都大学東京教授。著書に『マンネリズムのすすめ』『からだの教養』『コンテキスト感覚』など。訳書に『鏡のなかの鏡』(エンデ)、『数の悪魔』(エンツェンスベルガー)、『反哲学的断章』(ヴィトゲンシュタイン)、『ドイツの人びと』(ベンヤミン)など。