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読まなければなにもはじまらない/編:木越 治 編:丸井 貴史

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。出版社:文学通信
。判型:A5
。ページ数:320ページ
。発売日:2021年11月12日


本は頭からお尻まで
読み通さなければ、とか
解説などは読まずに、
純粋に作品と向き合わねば、
とか
そんなことを思っていた時期も
ありましたが、
全然そんなことない。
ただ、
もし本を読めない
という悩みがあるなら、
読む方法がわからない
という場合もあるような気がしていて。
そんなときは、
こんな本を読んでみると
よいかもしれません。
じつは、
本の読み方を知ることができる本は、
長く手元に置いておける本な
気がします。
3分でわかるとか
速く読むとかじゃなく、
内容を楽しむための補助線は、
どんどん使いこなしていきたいです。
じっくり古典を読む、
なんてことをやってみたいなあ
と思っています。

以下は出版社ホームページより。

古典を「読んだ」と言うのは勇気がいる。自分なりの古典の読み方を見つけるにはどうしたらいいのだろう?

古典を「読む」にはどうしたらよいのか、古典を「読む」とはどういうことか、ということを、様々な角度から示し、「読む」ための手がかりやヒントを提示することで、古典を「読む」楽しさの一端を伝えようとする本です。

第1部「読まなければなにもはじまらない」では、「書誌調査や伝記研究、あるいは文化研究に解消されない文学研究のあり方を模索」して、「語り」という観点から近世小説の歴史を通観しようとしていた、故木越治の遺稿を掲載。「作品は読者が読まない限り単なる紙とインクのかたまりにすぎない、あるいは、「読む」ことを通してはじめて作品は生命を与えられる」という、本書のタイトルでもある「読まなければなにもはじまらない」というメッセージを起点に、古典を「読む」ことについて考えます。
第2部「古典を「読む」ためのヒント」では、古典文学作品を分析するための方法について具体的に論じていきます。【古典を読む前に】【古典文学の表記】【典拠のはたらき】【文体のはたらき】【古典文学のなかの手紙】【絵とテクスト】【漢詩読解入門】【「文学」の範囲】【文学としての演劇】など様々な視点からヒントが得られます。
第3部「いま、古典を「読む」ということ」では、国語科教員・地域情報誌編集長が【「生きる」ことと古典】【古典教育の諸問題】【役に立つ学問とは】という視点から、古典を学ぶことの意味を考えるきっかけを提供します。
最後の第4部「読むことでなにがはじまるのか」では本書の主題をあらためて問い直す座談会です。創作活動をなさっている堀切克洋氏・パリュスあや子氏・木ノ下裕一氏を招き、古典を「読む」ということについて語り合いました。

執筆者は、木越 治・丸井貴史・高松亮太・中野 遙・紅林健志・岡部祐佳・有澤知世・山本嘉孝・真島 望・日置貴之・加藤十握・中村 唯・宇治田健志・堀切克洋・パリュスあや子・木ノ下裕一。

【往々にして、古典は「難しい」「つまらない」「堅苦しい」「敷居が高い」ものと思われがちです。しかし、本書を手に取ってくださった方々は、少なくとも古典に対して何らかの興味や関心をお持ちのことと思います。まずはそうした皆さんに、古典の面白さ・魅力・意味を再発見していただけることを願ってやみません。そしてぜひ、ひとつでも多くの古典に手を伸ばしてみてください。
何のために古典を読むのか―。それはたいへん大きな問いですが、しかしそれを考えるには、読まなければなにもはじまりません。いま、それを始めましょう。】

【編者プロフィール】

木越 治(きごし・おさむ)KIGOSHI Osamu

元金沢大学名誉教授(2018年2月没)。日本近世文学専攻。著書に『秋成論』(ぺりかん社、1995年)、編著に『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008年)、『講談と評弾--伝統話芸の比較研究--』(八木書店、2010年)、『上田秋成研究事典』(共編、笠間書院、2016年)、『怪異を読む・書く』(共編、国書刊行会、2018年)など。

丸井貴史(まるい・たかふみ)MARUI Takafumi

就実大学講師(日本近世文学)。著書に『白話小説の時代--日本近世中期文学の研究--』(汲古書院、2019年)、論文に「「白蛇伝」変奏--断罪と救済のあいだ--」(木越治・勝又基編『怪異を読む・書く』国書刊行会、2018年)、「『太平記秘説』と庭鐘読本--文体・舞台・素材--」(『日本文学』第七十巻第七号、2021年)など。

【目次】

まえがき─何のために古典を読むのか(丸井貴史)

第1部 読まなければなにもはじまらない(木越 治)

1 はじめに─読まなければなにもはじまらない
2 作者と作品の関係について
3 「語り」への注目

1.「語り」とは?/2.なぜ近世小説の「語り」に注目するか──『源氏物語』の「語り」から学んだこと/3.『源氏物語』以前の「語り」──『竹取物語』の場合/4.『源氏物語』以前の「語り」──歌物語の場合

4 御伽草子の「語り」
a 「浦島太郎」の「語り」について/b 「物くさ太郎」の「語り」

5 おさんという女─『好色五人女』巻三を読む

○西鶴はむずかしい/○『好色五人女』巻三について/○「大経師の美婦」と「室町の今小町」──第一章の時間処理について/○「語り」の多い叙述文──第二章の文体分析/○逃亡のなかから/○変貌するおさん/○茂右衛門をとおして見たおさん

第2部 古典を「読む」ためのヒント

【古典を読む前に】
1 古典の「本文」とは何か─『春雨物語』の本文研究に即して(高松亮太)

1 本文を校訂すること/2 本文を定めること/3 『春雨物語』の諸本/4 『春雨物語』の本文史/5 これからの『春雨物語』研究へ向けて/6 古典の「本文」を読むこと

【古典文学の表記】
2 表記は「読み」にどう関わるか(中野 遙)

1 『こゝろ』と『こころ』/2 日本語の「正書法」/3 古典と表記/4 表記と「読み」との関係性

【典拠のはたらき】
3 表現の歴史的文脈を掘り起こす─典拠を踏まえた読解の方法(丸井貴史)

1 典拠とは何か──井原西鶴『好色一代男』を例に/2 古人とつながる──松尾芭蕉『おくのほそ道』/3 言葉が意図を裏切る──上田秋成「蛇性の婬」/4 再び『好色一代男』を考える/5 おわりに

【文体のはたらき】
4 文体の持つ可能性(紅林健志)

1 はじめに──なぜ文体研究が必要か/2 文体を選ぶ/3 文体と心情表現(1)──物語/4 文体と心情表現(2)──軍記/5 文体と心情表現(3)──お伽草子/6 文体と心情表現(4)──浮世草子/7 ファッションとしての文体(1)──初期読本/8 ファッションとしての文体(2)──後期読本

【古典文学のなかの手紙】
5 書簡体小説の魅力と「読み」の可能性(岡部祐佳)

1 はじめに/2 西鶴『万の文反古』について/3 江戸時代の不倫嘱託殺人事件/4 「噂」の謎/5 密通事件はあったのか?/6 女はなぜ自殺したのか?/7 おわりに

【絵とテクスト】
6 絵を読み解く─近世・明治の出版物を読む(有澤知世)

1 重層化させる絵──余情豊かに描く/2 雄弁な絵──言外に描き出す/3 共通認識をつくる絵──善の侠客・野晒悟助/4 絵から時代を読み解く──正義か悪か、背中の髑髏模様

【漢詩読解入門】
7 漢詩を読み解く─青地礼幹「喜義人録成二首」を例に(山本嘉孝)

1 漢詩を読み解くための二つのステップ/2 赤穂浪士を詠んだ漢詩/3 下準備──漢和辞典で一字ずつ調べる/4 第一ステップ──詩語の用例を探す/5 用例を絞りこむ/6 第二ステップ──漢詩が必要とされた場について理解する/7 第一ステップ(再)──用例をさらに絞り込む/8 作り手が参照し得た資料を確認する/9 第二ステップ(再)──内容と表現方法を吟味する/10 漢詩・漢文の世界観

【「文学」の範囲】
8 地誌を「読む」ということ(真島 望)

1 近世地誌とはなにか/2 江戸地誌に見る将門説話/3 将門祭神説への疑問/4 『江戸名所図会』の特色/5 結び

【文学としての演劇】
9 歌舞伎を「読む」ということ─河竹黙阿弥作品の場合(日置貴之)

1 演劇を「読む」/2 歌舞伎の台本/3 河竹黙阿弥作品の出版/4 活字本による享受/5 『黙阿弥全集』の問題/6 「配列」の美学

第3部 いま、古典を「読む」ということ

【「生きる」ことと古典】
1 古典を読む営為について(加藤十握)

1 「古典は本当に必要なのか」論争について/2 古典教材をジブンゴトとして読むこと/3 翻字を学ぶことの意味について/4 古典の現代語訳という営為について

【古典教育の諸問題】
2 古典との向き合い方─中等教育の現場から(中村 唯)

1 言葉を楽しむ体験/2 「古典が嫌い」とは何か/3 古典作品を読むということ

【役に立つ学問とは】
3 「現代社会」が古典文学をつくる─歌枕〈わかのうら〉受容の歴史から(宇治田健志)

1 専門外の立場で古典とかかわる/2 加速する社会、学問の消費期限/3 〈わかのうら〉は誰がつくった/4 〈わかのうら〉の舞台芸術と観光/5 古典の教養は共有のイメージ/6 現代社会が古典をつくる

第4部 読むことでなにがはじまるのか

堀切克洋・パリュスあや子・木ノ下裕一・丸井貴史

なぜこの座談会を企画したのか
どういう創作活動をしているのか
創作のモチベーション
「やばい」言葉との遭遇
現代語訳は乾燥わかめ
どこから古典を「読んだ」といえるのか
古典を「読んだ」というのは勇気がいる
現代語訳でわかった気になってしまう怖さ
点数化できる古典はやる気がなくなる
「おしゃべりな古典教室」で意識していること
国語は冷静さと情熱のバランスが難しい
古典を学ぶことの意味はどこにあるのか
言葉が足りていないという感覚
使うことによって言葉が息を吹き返す
古典にこちらからアプローチしていく
古典がなくなると生きづらくなる人は確実にいる
出会ってはいけないものに出会ってしまった感じ
古典が役に立つといわれている方が怖い
古典不要論に対して
外国で日本文学を説明する時どうするのか
夏井いつき現象と松山の俳句を使った試み
批評の大事さ
何を教えるのかというセレクト
フランスの芸術教育

あとがき(丸井貴史)
執筆者プロフィール


【執筆者プロフィール】

高松亮太 TAKAMATSU Ryota
東洋大学准教授(日本近世文学〈学芸史、上田秋成〉)。著書に『秋成論攷--学問・文芸・交流--』(笠間書院、2017年)、論文に「歌論と創作のあいだ--上田秋成の武家歌論をめぐって--」(『国語と国文学』第九十七巻第十一号、2020年)、「賀茂真淵と田安宗武--有職故実研究をめぐって--」(『近世文藝』第一一四号、2021年)など。

中野 遙 NAKANO Haruka
上智大学グローバル教育センター特任助教(国語学、特に日葡辞書をはじめとしたキリシタン版語学辞書を中心とした辞書史学)。著書に『キリシタン版『日葡辞書』の解明』(八木書店、2021年)、論文に「キリシタン版『日葡辞書』の語釈構造について」(『訓点語と訓点資料』第一三八号、2017年)、「キリシタン版『日葡辞書』の訓釈について--『落葉集』定訓との対照を中心に--」(『上智大学国文学論集』第五十一号、2018年)、「キリシタン版『日葡辞書』補遺篇の見出し語--見出し昇格語について」(『国語語彙史の研究』第三十八号、2019年)など。

紅林健志 KUREBAYASHI Takeshi
盛岡大学准教授(日本近世文学)。校訂に「古実今物語 後篇」(木越治責任編集『江戸怪談文芸名作選 清涼井蘇来集』国書刊行会、2018年)、論文に「紀行文としての『折々草』と『漫遊記』」(木越治・勝又基編『怪異を読む・書く』国書刊行会、2018年)、「『好色一代男』の章題を読む」(『日本文学』第七十巻第二号、2021年)など。

岡部祐佳 OKABE Yuka
大阪大学大学院生(日本近世文学)。論文に「『万の文反古』巻二の一「縁付まへの娘自慢」考--「今程、世間に見せかけのはやる事はなし」をめぐって--」(『語文』(大阪大学)第一一一輯、2018年)、「瀬川采女説話の受容と展開--妻・菊の貞女性を中心に--」(『近世文藝』第一一二号、2020年)、「享保期艶書小説の当代性--『当流雲のかけはし』とその周辺--」(『上智大学国文学論集』第五十四号、2021年)など。

有澤知世 ARISAWA Tomoyo
神戸大学助教(日本近世文学、特に江戸戯作)。論文に「京伝作品における異国意匠の取材源--京伝の交遊に注目して--」(『近世文藝』第一〇四号、2016年)、「山東京伝の考証と菅原洞斎--『画師姓名冠字類抄』に見る考証趣味のネットワーク--」(『国語国文』第八十六巻第十一号、2017年)、「古画を模す--京伝の草双紙と元禄歌舞伎」(小林ふみ子、中丸宣明編『好古趣味の歴史 江戸東京からたどる』文学通信、2020年)など。

山本嘉孝 YAMAMOTO Yoshitaka
国文学研究資料館・総合研究大学院大学准教授(日本漢文学〈江戸・明治期〉)。著書に『詩文と経世―幕府儒臣の十八世紀―』(名古屋大学出版会、2021年)、論文に「「文粋もの」における朱子学と陽明学の折衷」(鈴木健一編『明治の教養 -- 変容する〈和〉〈漢〉〈洋〉』勉誠出版、2000年)、「木下順庵と林家」(『北陸古典研究』第三十五号、2021年)など。

真島 望 MASHIMA Nozomu
成城大学非常勤講師(日本近世文学〈特に地誌・説話・俳諧〉)。著書に『近世の地誌と文芸--書誌、原拠、作者--』(汲古書院、2021年)、論文に「『事蹟合考』と江戸の地誌--斎藤幸孝手沢本を中心に--」(『日本文学』第六十九巻第十号、日本文学協会、2020年)、「五雲亭鶴歩覚書」(佐藤勝明編『東風流--宝暦俳書の翻刻と研究--』世音社、2021年)など。

日置貴之 HIOKI Takayuki
明治大学准教授(幕末・明治期を中心とする日本演劇)。著書に『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』(笠間書院、2016年)、『明治期戦争劇集成』(科学研究費助成事業成果物、2021年)、編著に『真山青果とは何者か?』(共編、文学通信、2019年)など。

加藤十握 KATO Totsuka
私立武蔵高等学校中学校教諭(国語科、日本近世文学)。著書に『読んでおきたいとっておきの名作25』(共著、旺文社、2015年)、『江戸怪談文芸名作選 新編浮世草子怪談集』(共著、国書刊行会、2016年)、論文に「近江の猿田彦--『春雨物語』「目ひとつの神」小考」(『読本研究新集』第六集、2014年)、「日常への回帰--『春雨物語』「二世の縁」小考」(木越治・勝又基編『怪異を読む・書く』国書刊行会、2018年)など。

中村 唯 NAKAMURA Yui
浦和明の星女子中学・高等学校教諭(国語科)。修士論文では唐代小説に取り組み、特に『離魂記』に代表される離魂譚の展開について論じた。授業では、現代文・古文・漢文の枠にとらわれることなく様々な文献を提示することで、言語や文化に対する生徒の関心を高め、「読み」の幅を自ら広げていけるよう工夫している。

宇治田健志 UJITA Takeshi
株式会社ウイング。金沢大学大学院人間社会環境研究科修了。和歌山の「歴史と文化」を紹介する情報誌『ほうぼわかやま』、中高生向けキャリア教育本『さくらノート』編集長。一般社団法人全国メディア制作連盟理事。紀伊万葉ネットワーク幹事。

堀切克洋 Horikiri Katsuhiro
1983年福島県生まれ。フランス在住。演劇批評家・俳人・翻訳家。第一句集『尺蠖の道』(文學の森、2018)により第42回俳人協会賞新人賞。2020年より俳句サイト「セクト・ポクリット」を運営。翻訳に『ベケット氏の最期の時間』(早川書房、2021)など。

パリュスあや子 Ayako Pallus
神奈川県生まれ。フランス在住。広告代理店勤務を経て、東京藝術大学大学院映像研究科・脚本領域に進学。「山口文子」名義で映画「ずぶぬれて犬ころ」脚本担当、歌集上梓。『隣人X』で第14回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。最新刊は『燃える息』。

木ノ下裕一 Kinoshita Yuichi
85年和歌山県生まれ。小学校3年生の時、上方落語を聞き衝撃を受けると同時に独学で落語を始め、その後、古典芸能への関心を広げつつ現代の舞台芸術を学ぶ。2006年に古典演目上演の補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。代表作に『娘道成寺』『黒塚』など。

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